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ANA37回債は12月21日に実施された日本銀行による社債等買入(社オペ)の対象となったため、利回りが10bp低下した。この10bpは「社オペ」プレミアムと言える。
日本銀行が実施している「社オペ」の対象は「1年以上、3年以下」であるが、3月16日に「新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペレーション」の一環として買入対象期間が3年から5年以下に延長された。当初は令和3年3月末まで実施される方針だったが新型コロナ感染の拡大が止まらない中、日本銀行は金融支援特別オペレーションの6ヶ月の延長は発表した。
〇39回債は今月の社オペから対象に
39回債の償還は2025年12月9日のため、12月21日に実施された社オペの対象となった。これに伴い、12月18日に1.25%だった利回りは21日に1.15%に10bp低下した。
一方、同社が起債している他の銘柄には大きな変化は見られなかった。例えば、
年限が5カ月長い2026年5月22日償還の37回債の18日の利回りは1.315%、21日は1.32%と同水準だった(図1参照)。
この39回債の金利低下で、3月以降0.06%前後で推移していた37回債との金利スプレッド0.17%に広がった(図2参照)。この拡大は、39回債の利回り低下が主因だ。
〇21日の社オペの結果は按分0.061%、平均0.094%
21日に実施された「社オペ」の結果は応札倍率1.69倍、按分レートが0.061%、平均レートは0.094%だった。先月と比較すると応札倍率が1.45倍から高くなったものの、按分レートが0.018%、平均レートが0.017%上昇した。按分比率は対象期間が拡大された5月以降最低の0.4%だった(表参照)。
対象3年以上5年以下 | 応札総額(億円) | 落札総額(億円) | 倍率 | 按分レート(%) | 平均落札レート(%) | 按分比率(%) |
2020年5月20日 | 5,920 | 2,001 | 2.959 | 0.170 | 0.212 | 31.60 |
2020年6月23日 | 6,177 | 2,000 | 3.089 | 0.170 | 0.192 | 33.30 |
2020年7月22日 | 4,874 | 2,000 | 2.437 | 0.154 | 0.173 | 47.70 |
2020年8月21日 | 4,716 | 2,000 | 2.358 | 0.165 | 0.181 | 1.90 |
2020年9月25日 | 3,451 | 2,000 | 1.726 | 0.133 | 0.154 | 3.50 |
2020年10月20日 | 3,124 | 2,001 | 1.561 | 0.103 | 0.127 | 61.60 |
2020年11月18日 | 2,900 | 2,000 | 1.450 | 0.043 | 0.077 | 39.90 |
2020年12月21日 | 3,388 | 2,000 | 1.694 | 0.061 | 0.094 | 0.40 |
「社オペ」対象銘柄の社債は、対象期間に入ると対象銘柄は「社オペ」を意識し利回りが低下する傾向が強い。
2021年3月末で終了予定だった「3年以上5年以下」の「社オペ」が2021年9月末に延長されたことで、社債市場は一安心しているようだ。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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