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自動車用シート材大手のセーレン<3569>が12月9日、
プレミアム付きCBを発行し、4.5億円にのぼる社債発行差益を手にした。
〇5.5%の大幅プレミアム付き発行
同社が9日に起債した2025年12月償還のユーロ円CBの発行価格は額面100%に対して105.50%と、
5.5%のプレミアム付きの発行だった。なお、105.5%のうち103%が同社に払い込まれた。
したがって、CBの発行額150億円に対して、募集金額が158.25億円、同社への払い込み金額が154.5億円となる。
その結果、この起債で同社には4.5億円の社債発行差益が発生した。
これを加味した5年間の資金調達コストはマイナス0.59%となる。
一般債の発行であれば、現在JCR A格5年のクーポン水準が0.25%前後、
この他、幹事手数料など0.4%が必要となる。コスト面ではCB起債が一般債と比較し、圧倒的に有利だ。
〇転換価格を1度引き下げることが出来る
今回起債されたCBには、1度だけ転換価格を引き下げることができる下方修正条項が設定されている。
これは、2022年1月5日に転換価格を最大10%引き下げることができるというもの。
新転換価格は、2021年11月12日から2021年12月24日(30営業日)の終値平均と転換価格を比較し、平均価格が1円以上低い場合に転換価格が引き下げられる。
現在の転換価格は1,878円なので、新転換価格の最低価格は1,691円となる。
CBは転換されると自己資本が厚くなり、かつ償還金を返済する必要がなくなる。
転換格を引き下げることで、転換の可能性を高めることが出来る。
〇自己株買い30億円を実施
今回の起債はリキャップCBで、起債金額の内30億円(最大株数:22万株)が自己株買いに充てられる。
同社の発行済株式数(2020年4月1日から2020年9月末の第2四半期)は約6,463万株で、自己株式の保有数は908万株だ。
一方、CB起債額150億円は798.7万株に相当するためすでに潜在株式数を上回る自己株を保有している。
また、自己株買いが実施されることでCB起債による株価への悪影響を抑えることが出来そうだ。
振り返れば、CB全盛期の1980年代後半は、募集価格と言えば100%が当たり前だった。
しかし、いつの間にか102.5%が基準となってしまい、
中に今回のように募集価格が額面を大きく上回る銘柄も目立つようになってきた。
社債は本来、発行体がコストを負担するはずだが、
いまやCBの発行コストはすべて投資家が払うと言ういびつな構造になってしまった感がある。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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