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精密部品の製造販売を行うスター精密<東証コード:7718>の転換制限条項付きユーロ円CB(2021年6月)は、
来年の3月16日に転換制限条項から解放される。
すでに乖離率の縮小が顕著となっており、転換を意識した動きが出はじめた。
〇設定されていた厳しい転換制限条項
同社の2021年6月償還のユーロ円CBには厳しい転換制限条項が2段階に渡って設定されている。
条件は2021年3月15日までは、
(a)2017年5月31日までは、各四半期の20連続取引日の株価の終値が転換価格の150%を超えた場合、
(b)2017年6月1日以降は、各四半期の最後の20連続取引日の株価の終値が転換価格の130%を超えた場合に限り、
翌四半期に予約権を行使できる。
CB起債以来、いまだ転換制限条項の条件を充たしたことはない(図参照)。
2018年1月に株価が転換制限条項水準を上回ったことがあるもものの、条件を充たすことはなかった。
〇株価が転換価格に迫り、乖離率が縮小
昨日の株価は年初来高値1674円を付け、1652円で終えた。
転換価格の1676.70円まで25円に迫り、同時に乖離率は縮小した。
今期(9月から12月)の四半期最後の20営業日は12月3日にあたり、
その日の株価が転換制限条項の条件価格2180円(転換価格1676.7円の130%)に達しなかったため、
1月以降3月15日まで予約権を行使することが出来ない。
しかし、株価が転換価格に近付いたことで乖離率が急速に縮小している。
株価の上昇を受け理論価格が上昇したものの、CB価格の上昇が理論価格より鈍い状態が続いている(図参照)。
その結果、乖離率の縮小が鮮明となっている(図参照)。
3月16日以降は株価が転換価格を上回れば、予約権が行使される可能性が高いためだ。
〇転換には全額自己株が対応
CBの残額80億円は477.1万株に相当するが、仮に転換されても同社は転換に十分対応出来る自己株式(直近で980.2万株)を保有している。従って、CBの転換には自己株が使われる可能性が高いため、新株が発行されることはなさそうだ。
つまり、1株当たり利益(EPS)の希薄化を懸念する必要はない。
現在、転換することは出来ないものの、3月16日向けた準備が着々と進んでいるようだ。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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