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小売業に特化したサードパティー・ロジスティックス(3PL)を提供している丸和運輸機関<東証コード:9090>が12月1日、大幅なプレミアム付きCBを発行し、11億円にのぼる社債発行差益を手にした。
〇8%の大幅プレミアム付き発行
同社が1日に起債した2025年12月償還のユーロ円CBの発行価格は額面100%に対して108%と、
8%の大幅なプレミアム付きの発行だった。なお、108%のうち105.5%が同社に払い込まれた。
したがって、CBの発行額200億円に対して、募集金額が216億円、同社への払い込み金額が211億円となる。
その結果、この起債で同社には11億円の社債発行差益が発生した。
これを加味した5年間の資金調達コストはマイナス1.067%となる。
〇当初のプレミアムは15%と低めの設定
募集価格が額面を大きく上回る108%に背景には15%という低めの転換価格の設定が存在している(図参照)。
また、転換制限条項が設定されていないために、制限条項付きと比較し、転換のハードルは低い。
〇自己株買い50億円を実施
同社の今回の起債はリキャップCBで、起債金額の内50億円(最大株数:150万株)が自己株買いに充てられる。
2020年4月から2020年9月末の第2四半期時点で同社の発行済株数は約6436.9万株で、自己株式の保有数は48.9万株だ。
CB起債額200億円は370.3万株に相当する。
自己株買いが実施されることで最大新株の発行を150万株抑えることが出来き、EPSの希薄化を抑えることが出来る。
なお、このCBには2023年12月17日にPUT(@100)が設定されている。
PUTを付けることで下値硬直性が働くため、額面を下回りにくくなる傾向がある。
これは、何らかの要因でCB価格が額面を下回った場合、PUTを行使することで利回りを狙うことが出来るためだ。
募集価格がリログループ同様大幅なプレミアム発行となった。
CB起債が錬金術となっているようだ。
振り返れば、CB全盛期の1980年代後半は、募集価格と言えば100%が当たり前だった。
しかし、いつの間にか102.5%が基準となってしまい、中に今回のように募集価格が額面を大きく上回る銘柄も目立つようになってきた。
社債は本来、発行体がコストを負担するはずだが、いまやCBの発行コストはすべて投資家が払うと言ういびつな構造になってしまった感がある。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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