いくら株価が上昇しても10月から12月に転換できないファンケルのCB


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ファンケル(東証コード:4921)の終値が史上高値を付けた。ファンケルは転換制限条項付きのユーロ円CBを100億円発行している。株価が上昇しているものの転換価格の水準まで株価が到達していない。

株価が高値水準にあるもののCBの転換を意識するレベルではない。

〇ファンケルのユーロ円CB

起債日:2019年4月2日

償還日:2022年4月18日

転換期限:2022年4月4日

転換価格:3,902.7円

転換制限条項の条件価格:5,074円

発行額:100億円

募集価格:@105.00

払い込み価格:@102.50

8月31日の株価:3,465円

理論価格:88.78円

 

このCBの募集価格が105円、払いこみ価格が102.50円だった。社債の償還は100円だ。つまり、この起債でファンケルは2.5億円の社債発行差益を得ることが出来た。

このCBの転換制限条項は2024年1月18日までは四半期最後の20連続営業日の株価の終値が転換価格の130%を超えた場合に限り、翌四半期に予約権を行使できるというもの。

本日が9月で終わる四半期最後の20営業日の初日にあたる。転換制限条項の条件価格5074円は株価が制限いっぱいまで買われたとしても不可能な水準だ。つまり、10月から12月にかけて株価がいくら上昇してもこのCBを転換することが出来ない。

 

〇発行済株数と自己株式

ユーロ円CB100億円が株式に転換されると256.2万株に相当する。これは発行済株数の1.97%にあたる。しかし2021年3月1Q時点で潜在株式数を上回る自己株式(968.9万株)を保有している。転換には自己株式が用いられる可能性が高い。

 

 

 

投稿者プロフィール

タダシ
大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)

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