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ディスポーザブル医薬機器大手のニプロ<8086>が2016年1月に発行したユーロ円CB250億円が転換されることなく本日償還を迎えた。株価は2017年から2019年にかけ、転換価格を上回った日もあったが全く転換が進まず。
2019年2月14日以降、株価の終値は転換価格を下回ったままだった。
<同2021年1月29日債の基本情報>
起算日:2016年1月31日
転換期限:2021年1月15日
償還日:2021年1月29日
転換価格:1,462円
発行額(残額):250億円(250億円)
120% ソフトコールがついていたとしても
同CBに120%ソフトコールが設定されていたとしても転換は全く進まなかっただろう。
起債後の高値は転換価格の120%である1754円を上回ることはなかったためだ(図1参照)。そもそも、資金使途が8回債200億円と9回債60億円の借り換え目的と、どちらかと言えば後ろ向きの起債だった。
0%で5年間調達できたとことは同社にとってプラスだが業績に与えるインパクトは小さいと言える。
自己株はCB起債時166万株から836万株に積み上がっていたものの
CB起債時(2018年3月末)時点の自己株式は約166.6万株だったが、2020年9月末時点では836.2万株に増加していた。背景には転換には自己株式を用いる予定だったことが推測される。250億円のCBが株式に転換した場合、約1,709万株に相当する。自己株式を用いることでEPSの希薄化を約10%から約4.9%に引き下げることができるためだ。
転換の準備は整っていたが株価は期待に応えることはなかった。
CBの使命は転換し、自己資本を厚くすること。このCBは使命を果たすことは出来なかった。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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