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ソニー<東証コード:6758>は国内CB6回債を発行している。このCBの転換が順調に進んでいるようだ。
先週末の株価は転換価格4,982.5円に対し株価はCB起債以来の高値8,910円を付けた。転換社債の理論価格は178.82円に達した。すでに取引価格は逆かい離だ。これはCBを売却する場合、株に転換し、株式市場で売却したほうが経済的だ。
〇ソニー6回債の詳細
起債日:2015年7月13日
発行価格:102.50
クーポン:0%
転換期限:2022年9月28日
償還日:2022年9月30日
転換価格:4,982.5円
ソフトコール:株価の終値が20取引日連続して転換価格の130%(6478円)以上の場合、2020年7月21日以降、当該20連続取引日の最終日から15日以内に必要事項を公示したうえで、当該広告において指定した償還日に残額を額面で繰上償還することが出来る。
8月14日の終値:8,876円
〇株価と転換価格
株価はソフトコールの設定水準6,478円を4月以降継続的に上回って推移している。ソフトコールの条件は既に充たされ、コールの発生が継続している状態だ。残額が多いためコールはかかる可能性が低いもののCBはマイナスかい離で取引されている。
〇8月14日の取引状況
14日のソニー6回債の出来高は1,400万円だった。
寄りは9時1分に額面100万円が175円で取引された。175円のCBを株価の換算すると
175%×転換価格4,982.5円=8,719.38円と求められる。
額面100万円を株式に転換した場合の株数は100万円÷転換価格4,982.5円=200.7株。
ソニーの株の取引単位は100株なので額面100万円の場合200株となる。
一方、9時1分36秒の株価は8,786円だった。
つまり、株式市場の価格とCBを転換した時点の株価との差額が利益となる。
この例では(8,786円-8,719.38円)×200株=13,324円が利益となる。
同様な手順で14日の6回債の5取引の株式市場とCB市場の歪みを求めると20万円強だった。
なお、このトレードにはリスクはほぼ発生しない。難点はCBの売り物が少ないこと。
約定時間 | 額面 | 価格 | 理論株価 | 株価 | 株数 | 利益 |
11:11:59 | ¥1,000,000 | ¥175.00 | ¥8,719.38 | ¥8,875.0 | 200 | ¥31,125 |
9:36:51 | ¥10,000,000 | ¥177.00 | ¥8,819.03 | ¥8,884.0 | 2,000 | ¥129,950 |
9:25:18 | ¥1,000,000 | ¥176.00 | ¥8,769.20 | ¥8,829.0 | 200 | ¥11,960 |
9:20:03 | ¥1,000,000 | ¥175.00 | ¥8,719.38 | ¥8,809.0 | 200 | ¥17,925 |
9:01:36 | ¥1,000,000 | ¥175.00 | ¥8,719.38 | ¥8,786.0 | 200 | ¥13,324 |
出来高 | ¥14,000,000 | 利益総額 | ¥204,284 |
〇転換と潜在株式
2020年6月末時点のソニー6回債は発行額1,200億円に対し1,174.06億円が流通している。
しかし、転換額はまだ小さいものの昨年の12月から毎月転換が確認されている。
6月の転換額はCB起債以来最大の17.48億円が確認された。この転換には自己株式が
用いられたため新株は発行されなかった。
CBの残額1,174.06億円が株式に転換されると2,356.3万株に相当する。一方、ソニーは
すでにこれを上回る3,962.8万株を保有している。
新株の発行はなさそうだ。
8月20日に7月分の転換額が発表される。7月の株価は6月の水準を上回っていた。
どれくらいの金額が転換されたのか気になる。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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