オフィスREITに逆風、既存ビルの空室率上昇中


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オフィスREITに逆風が吹いている。新型コロナ禍に伴う働き方の見直しで、

企業がオフィスを縮小する動きが本格化している。

三菱UFJ銀行は、テレワークを前提としたオフィスを2021年5月に設けると発表した。

これに伴い、新オフィスは座席数を既存の8割程度に抑え、延べ面積は4,000坪程度と、移転前から半減する見通しだ。

実際、仲介大手の三鬼商事が発表した10月東京ビジネス地区の空室率が前月の3.43%から3.99%に上昇しただけでなく、平均賃料は前月の22,733円から299円下落し、22,434円となった。

新型コロナによる働き方の見直しに伴う“オフィス縮小”の流れは続いているようだ。

〇オフィスREITに逆風

東証REIT指数と各セグメント指数(商業・物流等指数、オフィス指数、住宅指数、*ホテル指数)の推移をみると(図参照、昨年末を100として比較)、オフィス指数だけが東東証REIT指数を下回っている状況だ。

具体的には、オフィス指数が東証REIT指数を8.5ポイント強もアンダーパフォームしている。それでも三鬼商事が発表した10月のオフィスレポートの結果や三菱UFJ銀行のオフィス縮小の報道を受けて、オフィス指数はもう一段の下落する可能性が強まっている。

 

*ホテル指数はホテル投資法人5社の平均値

 

〇ビジネス地区の空室率は東京、大阪ともに上昇中

東京と大阪のビジネス地区の空室率は上昇している。

10月の数字は東京が前月の3.43%から3.93%に、大阪が2.96%から3.14%に上昇した。

この水準は東京が2016年7月、大阪が2018年6月以来の高水準だ。

〇東京の平均賃料は3カ月連続の下落

10月の平均賃料は東京が3ヵ月連続の下落となった。

東京の平均賃料は前月比299円下落し22,434円、大阪が16円安の11,928円だった。

なお、東京の下落額299円は、2010年2月(マイナス470円)以降最大だ。

〇既存ビルの空室面積拡大中

東京・大阪ともに新築ビルの空室率は低下したが、既存ビルの空室面積は拡大した。

既存ビルの空室面積は東京・大阪ともに2020年3月以降拡大している。

10月の空室面積は東京が302,773坪(9月:262,489坪)、大阪が68,272坪(9月:64,421坪)と

東京は前月比40,284坪拡大した(図参照)。

 

このように、コロナ禍で一気に広がったテレワークにより、オフィスビルを縮小する企業相次いでいることを背景に、オフィスREITは厳しい投資環境に置かれているといえるだろう。

 

 

投稿者プロフィール

タダシ
大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)

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