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ソフトバンクG(東証コード:9984)が発行している外国債券に売りが止まらない。昨日もユーロ債、ドル債ともに多くの銘柄が1ポイント以上下落した。
一方、国内債市場ではこのような動きは観測されていない。
ソフトバンクGの外貨建て債と国内債との溝は広がるばかりだ。
〇ドル建て債永久劣後債
ソフトバンクGはドル債やユーロ建て債を発行している。その中で特にクレジット市場が注目しているのがドル建て永久劣後債だ。
ソフトバンクGの米国ハイテク株のデリバティブ取引が報道をきっかけに債券価格の下落が顕著となっている。
図が永久劣後債2銘柄の価格の推移を示している。
ファーストコールはクーポンが6%の永久劣後債が2023年7月、6.875%の永久劣後債が2027年7月に設定されている。
表は先週末と前日、昨日の価格と利回り、Tスプレッドだ。債券価格は下落、利回りが急騰、
Tスプレッドが拡大した。先週末と比べ価格は6%永久劣後債が3pt弱、6.875%永久劣後債が3.9pt弱下落した。
6%永久劣後債 | |||
価格 | 利回り | Tスプレッド | |
9月4日 | $98.27 | 6.671% | 653 |
9月8日 | $96.37 | 7.430% | 726 |
9月9日 | $95.34 | 7.849% | 769 |
先週末比 | -$2.93 | 1.18% | 116 |
6.875%永久劣後債 | |||
価格 | 利回り | Tスプレッド | |
9月4日 | $100.51 | 6.779% | 634 |
9月8日 | $98.16 | 7.217% | 674 |
9月9日 | $96.65 | 7.506% | 705 |
先週末比 | -$3.86 | 0.73% | 71 |
〇2023年4月20日償還債
ソフトバンクGは円債の他、ユーロ建て債とドル債を発行している。
それらの中で同じ償還日の債券が存在している。
それは2023年4月20日に償還を迎えるドル債とユーロ債、国内債(円債)だ。
これら3銘柄を比較すると国内債と外債の溝が拡大していることが分かる。
図2が3銘柄の利回り推移を示している。外債の利回りが上昇しているが円債については
低位安定していることが読み取れる。
表は各債券の9月4日と9月9日時点の現地利回りとTスプレッド(TS)及び、円SWAPした場合の円換算利回りとTSだ。
9月4日時点
償還日2023年4月20日 | 現地利回り | TS | 円換算 | TS |
ドル | 2.530% | 237 | 1.967% | 210 |
ユーロ | 1.740% | 246 | 2.070% | 220 |
49回債(円) | 1.620% | 174 | 1.620% | 174 |
9月9日時点
償還日2023年4月20日 | 現地利回り | TS | 円換算 | TS |
ドル | 2.985% | 283 | 2.405% | 253 |
ユーロ | 2.178% | 289 | 2.488% | 262 |
49回債(円) | 1.624% | 175 | 1.624% | 175 |
外債の円換算利回りが先週末日0.4%程度上昇した。
9日のドル債やユーロ建て債を円にSWAPした場合利回りが2.4%台に対し49回債は1.624%という水準だ。
同じ償還債でも外債と円債が分断化されている。
この傾向は2023年償還債だけの話ではない。そのほかの期間の銘柄についても同様の傾向がある。
ソフトバンクGの債券は一物三価が成り立っている。
円債の今後の動きが注目される。
投稿者プロフィール
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大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
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