SVB破綻は人為的ミス


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株式市場の混乱が収まりません。週末の米国市場は銀行株が大きく売られています。大手銀行ウェルス・ファーゴの下落率は前日比3.9%でしたが、ファースト・リパブリック・バンクが前日比32.8%安、パックウェスト・バンコープが18.95%同安、ウェスタン・アライアンス・バンコープは同15.14%安など地方銀行株が大きく下落しました。

米銀行株推移

今回のSVB銀行の破綻は、大口預金の引き出しから始まりました。日本でも1973年に私の地元、豊川信用金庫で取り付け騒ぎが起きました。女子高生が豊川信用金庫に就職がきまった友人に「信用金庫は銀行強盗が入るから危ないよ」と話していたことが「信用金庫が危ない=倒産」と拡散したそうです。

あっという間にデマが広がり、約14億円の預金が引き出されました。私の母親も預金を下ろしに行ったそうです。

1973年はインターネットも携帯もありません。現在はネット社会、情報はあっという間に広がります。

 

SVBの破綻は、人為的ミスです。リスク管理が全くできていなかったことが主因です。

銀行は預金引き出しに対し、現金や短期資産を保有しています。みずほ銀行は預金額に対し、45%、三菱UFJFGは51.9%の現金・現金同等物、インターバンク資産を保有しています。これだけ保有していれば、いざ取付騒ぎが起きても対応できます。

 

一方、米国市場で株価が急落している銀行の現金保有率(預金カバレッツジ)は、ファースト・リパブリック・バンクは要求払い預金(いつでも払い戻しができる預金)に対し6.8%、ウェスタン・アライアンス・バンコープは5.3%とかなり低い状況です。

会社名 預金カバレッジ
みずほフィナンシャルグループ 45.30%
三菱UFJフィナンシャル・グループ 51.90%
しずおかフィナンシャルグルー 20.31%
ウェルズ・ファーゴ 49.60%
ウェスタン・アライアンス・バンコープ 5.30%
ファースト・リパブリック・バンク 6.84%
シグネチャー・バンク 18.90%
USバンコープ 38.87%
コメリカ 15.73%
トゥルイスト・ファイナンシャル 18.12%
ハンチントン・バンクシェアーズ(オハイオ州) 18.09%

 

銀行は預金者が現金を引き出し、手持ちの現金が底をつくと、投資有価証券などを売却して現金の手当をします。それでも現金が不足する場合には、満期保有有価証券を売却します。

今回、SBV破綻の主因が満期保有有価証券を売却したことです。

 

満期保有有価証券とは、償還まで保有することを目的としているため、債券価格を時価で評価する必要がありません。つまり、100で投資した債券価格は、いつまでたっても100です。しかし、少しでも売却すると投資有価証券の扱いとなり、時価評価する必要があります。金利が低下している環境であれば利益が出ることもありますが、現在FRBは利上げを継続しています。米国利上げの影響で、超長期債の価格下落はすさまじく、超長期の債券先物価格は高値から30ポイント以上下落しています。これは額面100万ドルに付き30万ドルの損失(2年債先物では同約7ポイント)。

債券先物価格推移

 

SVBは満期保有有価証券として超長期債を保有していました。売却した時点で隠れていた評価損がPL上に計上されてしまいました。そのため増資を計画していましたがこの状況で誰も増資に応じてくれません。最終的の破綻してしまいました。

 

 

SVBの破綻はずさんなポートフォリオ管理が原因です。日本の銀行ではありえません。

 

FRBや大手銀行が救済の手を差し伸べていますが、混乱は収まっていません。

株が売られ、資金は金とビットコインに流れています。

 

金を買うならETFを買いましょう。小額から投資が可能、流動性が高い、盗難リスクがない、税制が有利だからです。

税金面では、現物で利益を上げた場合は雑所得扱いですが、ETFは株や投信と同様の扱い(売却益の約20%)です。

 

・株式性善説

株式市場は乱高下を繰り返して成長してきました。株式市場が崩壊すると、世界中の年金が破綻します。年金の多くは株式市場で運用されているからです。株式市場を信じましょう。

ダウ工業平均の推移

株式投資で勝率をあげるには、銘柄を絞り、フェアバリューを意識し、フェアバリューより安い価格で投資することです。

フェアバリューはDCF法なので求めますが面倒なので、代替として投資基準PERを決めるようにすると良いです。特に長期投資家は逆張りが鉄則です。

そういう点から、この下落相場(特にバリューが売られているので)、押し目買いのチャンスだと思います。

米国株は割高なので日本株に投資妙味がありそうです。

今回、債券について書いたので、債券勉強3は次回に書きます。

 

 

藤井理

データ:Bloomberg

投稿者プロフィール

タダシ
大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)

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