CB起債による錬金術:メニコンに約15億円の社債発行差益


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CB起債による錬金術:メニコンに約15億円の社債発行差益】

コンタクトレンズ製造・販売のメニコン<7780>が1月13日、プレミアム付きCBを発行し、

14.95億円にのぼる社債発行差益を手にした。この金額は当期純利益(2020年3月連結)の36.8%相当する。

 

9%の大幅プレミアム付き発行

同社が13日に起債した2025年1月償還のユーロ円CBの発行価格は額面100%に対して109.00%と、9.00%のプレミアム付きの発行だった。なお、109.00%のうち106.50%が同社に払い込まれた。

したがって、CBの発行額230億円に対して、募集金額が250.70億円、同社への払い込み金額が244.95億円となる。

その結果、この起債で同社には14.95億円の社債発行差益が発生した。これを加味した4年間の資金調達コストはマイナス1.56%となる。

社債を起債した場合は、日本証券業協会の格付けマトリクスによるとR&I A格4年の利回りは0.275%だ。

この他、幹事手数料など0.4%が必要となる。コスト面ではCB起債が一般債と比較し、圧倒的に有利だ。

 

プレミアムの背景にアップ率10%

このCBの特徴の一つにアップ率10%が挙げられる。転換価格は基準株価(1月13日の終値6730円)の110%である7,403円に決まった。先日起債された共立メンテナンス<9616>2026年1月償還のユーロ円CBのアップ率が25.01%だった。

額面を大幅に上回る発行価格が実現できたのは、転換価格を低めに設定することでCBに含まれているコールオプションの価値を上げたことだ。

意識される8,884円(120%ソフトコール)

コールは株価の終値が20日連続して8,884円(転換価格の120%超)以上だった場合発生する。

ソフトコールが設定されているCBは、株価がコール設定価格に上昇するとコールが意識されるため、

乖離率が0%に収斂され転換が始まる傾向がある。コールが行使されると、額面で償還されるためだ。

 

資金使途は設備投資

 

調達した資金の大半は設備投資(ディスポーザブルコンタクトレンズ事業の投資資金;170億円、

オルソケラトロジーレンズ事業に30億円)等に使われる。

起債は前向きの起債といえる。

株価はCB起債を嫌気し下落したものの、これら事業が成長し収益に貢献するようになれば株価は上昇する。

 

株価上昇時にはCBは起債しやすい環境と言える。CBは国内債と比較し、

格付けが多少悪くても投資家層が多いため多額の調達が可能となる。

株高を背景に、額面価格を大幅に上回るような起債が増加する可能性が高い。

 

 

投稿者プロフィール

タダシ
大学時代から株式投資をはじめ、証券会社のトレーダーとなる。以後、30年
金融畑一筋。専門分野は債券、クレジット。
日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)

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